CHUWI Hi9 Plusの実機レビューです。以前CHUWI Hi9 Proという製品をレビューしていますが、同じHi9でもProは8.4インチでPlusは10.8インチです。ディスプレイサイズの違いはともかくとして、価格もProより高くて一部コンポーネントのスペックも上回る本製品は、はたしてどのような製品に仕上がっているのでしょうか。
※本投稿はgadgetfan3号氏による寄稿です。
コンテンツ
CHUWI Hi9 Plus レビュー
概要
メーカーサイトを見る限り、8.4インチのCHUWI Hi9 Proに対して10.8インチのCHUWI Hi9 Plusが大きく違うところは、CPUがMediaTekのHelio X20からHelio X27になっていることと、専用キーボードを装着することでタブレットとしてだけではなくノートPCライクに使うことができること、ディスプレイが1024段階の筆圧感知に対応しているので、スタイラスペンを使ってペンタブレットとして使えるなど、ビジネスや趣味にと幅を広げた製品になっているように見えます。今回のレビューでは専用キーボードやスタイラスペンは用意できなかったので、タブレットとしての使い心地を試してみたいと思います。
仕様
スペックを見ると、OSがタブレットとしては最新の部類に入るAndroid8.0であること、CPUも中華タブレットの中ではハイエンド寄りのMediaTek Helio X27を採用し、RAMが4GBにROMが64GBでMicroSDカードによる拡張も可能になっていて、ディスプレイも2KというかWQXGAの解像度があり、対応バンドも多くはないけど3GやLTEの通信も可能とスペックだけ見てみるとちょっと期待させる仕様になっています。センサーはメーカー公式とリセラーで書いている内容が違うのでとりあえず2種類載せていますが、私が手に入れた製品はスペックに書かれている内容ともまた違う結果になっているので後述します。
CHUWI Hi9 Plus | |
OS | Android 8.0 |
CPU | MediaTek MTK6797X Helio X27 Deca Core |
GPU | ARM Mali-T880 875MHz |
CORE | A72 x 2 @2.6GHz, A53 x 4 @2.0GHz, A53 x 4 @1.6GHz |
RAM/ROM | 4GB / 64GB (MicroSDスロットに追加で128GBまでサポート) |
ディスプレイ | 10.8インチ 1600 x 2560 IPS Capacitive Screen |
カメラ | リア 8MP, フロント 8MP |
対応バンド | GSM: 2/3/5/8
WCDMA: 1/2/5/8 |
WiFi | 2.4G/5G 802.11 a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 4.1 |
言語 | Worldwide(日本語をサポート) |
センサー | 環境光センサ, 電子コンパス, ジャイロセンサ, 近接センサ(※gearbest) 加速度センサ, 近接センサ, 重力検出システム, 光検出システム(※公式) |
インターフェース | Micro SDスロット, USB Type-C, 3.5mmヘッドホンジャック,
ドックインターフェース |
バッテリー | 7000mAh |
サイズ | 266.4 x 177 x 8.4 mm / 550g |
付属品 | タブレット本体, 充電器, USBケーブル |
付属品
外箱は標準価格が$300弱の製品としてはショボいです。ペラペラの薄い箱です。ある意味気兼ねなく捨てられそうでいいのかもしれません。
付属品はタブレット本体、取扱説明書(操作に関することは中国語と英語で注意事項だけ日本語あり)、保証書、充電器、USBケーブル(Type-C to A)、SIMピンと必要最低限
充電器のコンセント形状はCタイプで日本で使うには変換アダプタを用意する必要があります。充電器としてのスペックは特別なものではないので変換アダプタを買ってまで使うほどの物ではありません。
外観
全体的に黒色でサイドフレームのカット部分がシルバーのアクセントになっています。ディスプレイの縁はラウンド処理が施された2.5Dガラスで、見た感じの質感はいい感じです。ベゼル幅は上下左右ともに約15mm程度ありますが、10.8インチで550gというサイズのタブレットを実際に持って使ってみると、このくらいのベゼル幅があったほうが持ちやすいです。
左側は専用キーボードドックの端子と位置合わせ用の穴が空いてます。
右側は電源とボリュームボタンです。サイドの処理もまあまあキレイで、厚さが8.4mmと特別薄くはないのですが、タブレットが大きいので薄く感じるというか気になりません。
上はSIMスロット(MicroSDもココ)と3.5mmヘッドホンジャック、Type-CのUSB端子です。ここはプラスチックのカバーになっています。
裏面はほとんどがメタルパネルで締められていて、上部の一部がプラスチックでカバーされています。また、背面にはステレオスピーカーが配置されていていて一見音が良さそうなのかなと思えますが、高音強めで低音は期待できません。一般的なスマホの音質がステレオになっただけという印象です。
保護フィルムは最初から貼られていましたが、所々に気泡が入っていたりともうちょっと頑張ってほしいところです。
ディスプレイとタッチパネル
ディスプレイ表示はIPS液晶ということで、どの角度から見ても色の変化が少なくて見ていて疲れません。発色は鮮やかな寒色系の表示です。設定でコントラスト、彩度、輝度、シャープネス、色温度が調整できるので暖色系が好みな人も調整可能です。
タッチパネルは製品全体的にそうなのか個体差の問題なのかは分かりませんが反応がかなーり悪いです。スワイプ操作はそれほど気になりませんが、軽くトンットンッって感じでタップしても反応しないことが多く、意識してタップしないと反応しません。この操作性の悪さはかなりストレスです。調整できないものかと思ってEngineering Mode(*#*#3646633#*#*)も見てみましたが有りませんでした。
左はCHUWI Hi9 Plusで、右はHuawei MediaPad M3です。比較対象がMediaPad M3なのは近くに置いてあっただけで特に意味はありません。Hi9 Plus単体で見ているときは感じませんでしたが、同じ画像を表示して比較してみるとHi9 Plusは若干作ってる感がある鮮やかな絵作りになっているかな?という印象です。
モバイルネットワーク
CHUWI Hi9 Plus は通話可能なタブレットで4G3G DSDSで利用可能なようです。SIM1とSIM2にそれぞれドコモ系とソフトバンク系の回線を交互に入れ替えてみたりしたところ、どちらでも使用可能でした。ただ、SIM1にドコモ系(データ)SIM2をソフトバンク系(通話)にしていたところ、しばらくすると接続できなくなっていたり、操作が激重になったりする等の挙動がみられました。ソフトバンク系SIMだけ(データと通話)の場合は、そういった事象は今の所起きていません。ちなみに、SIM1にソフトバンク系SIMを入れたときはVoLTEの表示は出ませんでしたが、ドコモ系SIMの場合はVoLTEが表示されました。モバイルネットワークについては厳密に色々とテストした訳ではないので、総じて参考程度に見ていただければと思います。
メーカーによる対応バンドの一覧は前述のスペック表のとおりですが、Band Select Modeでチェックが入っているバンドは以下画像のとおりです。
アプリケーションとユーザーインターフェース
OSはMediaTek向けの素のAOSPで、標準でインストールされているアプリケーションもAndroid標準のものしかありません。設定項目もMediaTek独自のバックグラウンドアプリを制限してフォアグラウンドアプリのパフォーマンスを向上させるDuraSpeedがあるくらいで特別なものはありません。変な日本語表示や中途半端に英語表記になっている部分もありません。
DRM付きストリーミング動画再生について
タブレットの購入を検討している人の中には動画視聴用にと思っている人はそれなりに居るのではないかと思っていますが、Netflixなどのストリーミング動画をHD画質で見ようと思っている人には、このタブレットはおすすめ出来ません。Widevine CDM Security LevelがL3なのでSD画質までの表示となっています。HD画質で契約しているアカウントで実際に見てみましたがSD画質でした。
パフォーマンス
SOC には MediaTek の Helio x27が採用されており、antutuベンチマーク(Ver7.1)のスコアは約10万と普段使いにおいては全く問題のないパフォーマンスに見えますが、UXの数値がそんなに高くないせいかUIの操作が若干もたつく感じです。3 D ゲームもUnreal Engineをバリバリ使ってるようなゲームは厳しいですが、RPGやパズル等でキャラクターとかが3Dで表示されているレベルの軽いものであれば大丈夫でしょう。2 D メインのゲームであれば問題なく動作してくれます。Youtubeでの4K動画の再生も問題ありませんでした。
センサー
スペックではいくつかのセンサーが搭載されているように書かれていますが、OS上で実際に見てみた結果が下記画像です。antutuのセンサー項目では加速度センサー、光センサー、近接センサーが有効なように見えます。ですが別のアプリでセンサーの値を確認してみましたところ、値が取れるのは加速度センサーだけで、光センサーも近接センサーも動作していませんでした。なので自動輝度調整されませんし、ディスプレイをカバーで隠してみても表示およびバックライトは消えません。
Accelerometerが加速度センサーで動作しています。Lightは光センサー、Proximityは近接センサですが、Waiting for valueのまま値が取れません。
CHUWI Hi9 Plusってgearbestとかで見ると型番がCWI532になっているんですが、手元にあるのはCWI515と書いてあります。CWI515をググってみるとWindows10搭載のHi 10が出てきます。でも本体裏にはしっかりとHi9 Plusの文字…。私の手元にあるタブレットが何かの間違いでメーカー記載のスペックを満たして無いだけであって、CWI532という型番のHi9 Plusはメーカー記載通りのスペックであればいいのですが…。いずれにしても不信感を拭えないですね。
カメラやバッテリーについて
カメラはフロント8MP、リア8MPで、画質的に何かが優れているわけではなくメモ的な使い方であれば問題ないレベルです。
バッテリーは設定画面で見る限り、フル充電から3日ほどで0%になる予測で、フル充電以降の画面の電池使用状況は50分程度です。7000mAhも容量がある割には持たないですね。
評価
同社のHi9 Proよりスペックや機能で上回る本タブレットは、はたして価格やカタログスペックに見合うだけの性能を有しているのかという前書きでレビューしてみたわけですが、結果としては残念と言わざるを得ません。LTE対応で、表示の綺麗な2K(WQXGA)ディスプレイに MediaTek Helio X27、RAM4G/ROM64GBという性能面のスペックは満足できる点なんですが、メーカーホームページのスペックに記載のあるセンサー類は動作しない、タッチパネルの感度が悪いなどなど、使うことに関するスペックは良くないですね。今回はタブレットとしてのレビューでしたが、専用キーボードを使用したPCとしての使い方や、スタイラスペンでのイラスト作成など試せていない部分がありますが、センサーやタッチパネルの感度とはあまり関係ない用途で使うという事であれば性能面のスペックは悪くないので、セール価格であれば買いかなというレベルです。
購入先
現在Gearbestでフラッシュセールが開催されており、 $189.99で購入可能となっています。興味がある方は以下より参照ください。